身近になった「共演する体験」～コンチェルト、室内楽ほか～

2008年から「コンチェルト体験」企画を立ち上げた文京アナリーゼステーション。当初は弦楽器のみ7名、翌年からは管楽器（オーボエ、クラリネット、ファゴット）が加わっただけの小編成でした。

しかし、小編成では、音量の問題はもちろんのこと、どうしてもコンチェルトのイメージを十分に構成できず、また、編曲が大変であり、奏者の負担も大きくなります。こうして、フルート、ホルン、トランペットが加わり、打楽器が加わり、最終的には2011年頃に、現在の25名規模の「管弦打楽器」オケの形に落ち着きました。

コンチェルトの世界は、2台ピアノだけでは決して分かりません。弦楽器は、自分のすぐ後ろに位置するが、例えば、管楽器がメロディーパートを受け持つ場合は、ピアノの向こう側からの音を捉えなければならない。この感覚は、場数を踏まなければわかりません。

実際には、コンチェルトともなれば、なかなか場数を踏む機会はなく、だからこそ、オケの質にこだわりました。

質とは、音楽的なことだけでありません。オーケストラマネージャー・ステージマネージャーの育成、また編曲・浄書などの製作チームを結成して運営のノウハウを蓄積し、総合的な運営力を培いました。奏者ひとりひとりの力量、経験に合わせられる柔軟な対応力こそは、教育・体験に携わるオケとしての真骨頂。こうして、文京アナリーゼステーションは、小学生の初心者から国際コンクール入賞者までが参加するという、ステップが生んだ唯一無二の場になったのです。

指揮者合わせ、リハーサル2回に加えて本番という、「オプション企画」としては充実したプログラムではあるが、もちろん「曲を完全に追求する」には未だ充分とはいえず、あくまで「体験」の場としての位置付けです。「初心者には、まずハイドン、モーツァルト、ベートーベンを体験してもらいたい」、と秋山先生。もちろん「今夏、サントリーホールでファイナルを迎える特級にチャレンジ　する方には、まずこの舞台で一度、オーケストラの共演というものを経験してから臨んでもらいたいです」。