ステップに参加するピアノ指導者 ~ステージの醍醐味を伝えよう~
秋に開催のピークを迎えるピティナ・ピアノステップ。その舞台は、ピアノ学習者だけでなく、「ピアノ指導者」の皆様にも開かれています。
自分の技術を磨くため、生徒に与える曲を咀嚼するため、仲間の先生といっしょに楽しいステージを演出するため。さまざまな目的とスタイルで、指導者自らが舞台に立つ動きは、着実に全国に広がっています。
指導者が自らピアノという楽器の鳴らし方を示し、ステージにのぼる緊張と高揚感を生徒に伝えることで、音楽の魅力がますます発揮され、ピアノ人口が増えていくと、ピティナは考えています。
ステージの醍醐味って...
- 難易度の高い曲、憧れの曲で達成感を得る
- フルコンをはじめとするグランドピアノを、ホール・サロンなどの音響空間で演奏できる
- アドバイザーを前にして演奏する緊張感を乗り越える
- 仲間とアンサンブルを楽しむ
- 観客に応援してもらえる高揚感
などなど・・・
ステップでは、どの切り口からも「ステージの醍醐味」を味わえます。教室のレッスン生に言葉で説得する前に、まず指導者自らが体験してみませんか?
データで見る"ピアノ指導者が参加するステップ"
①ピアノ指導者の参加数
指導者がステップに出演する数は、2012年度の749人(全体の1.9%)に至るまで、着実に増えています。また、およそ全体(2012年は470地区)の半数の地区で、指導者の参加があることがわかります。
②ステージに出る指導者はアクティブ!
過去にステップに自ら参加したことがある会員1,400人に対し、実に3分の2にあたる933人が、自分の教室の生徒もステップに参加しています。ピティナ全体(※)ではこの比率は44%になりますので、いかに「ステージに参加する指導者」の教室が、ステージに積極的であるかがわかります。
- 正会員・指導会員・演奏会員・研究会員の12,062人に限定。また、ステップ参加は2012年度以降として算出
③指導者の参加が多い地区(ステーション)
全国2地区に1地区で、指導者の参加がありますが、なかでも指導者の参加が多い地区を調べてみました。ただし、団体登録での参加や、会員でない方の参加を含めておりませんので、実際にはもっと多くの出演があると考えられます。
地区名(ステーション名) | 参加数 | |
---|---|---|
1 | 狛江(ジャスミンKOMAEステーション) | 39 |
2 | 門真(大阪城ステーション) | 14 |
2 | 町田冬季(まちだtriangleステーション) | 14 |
4 | 仙川5月(ジャスミンSENGAWAステーション) | 12 |
5 | 南大沢冬季(ジャスミンINAGIステーション) | 11 |
6 | 巣鴨秋季(巣鴨ステーション) | 10 |
6 | 松山春季(松山ハーモニーステーション) | 9 |
6 | 広島幟町(広島マカロンステーション) | 9 |
9 | 文京ポピュラー(Tokyoポピュラーステーション) | 8 |
9 | 文京ジャズ(Tokyoジャズステーション) | 8 |
9 | 倉吉秋季(まなたんステーション) | 8 |
9 | 鹿児島中(南の国のアリスステーション) | 8 |
9 | 佐野(佐野ハーモニーステーション) | 8 |
● ステーション代表者に聞きました!
重野美樹先生(新規地区ながら、9組の指導者の参加を集めた広島マカロンステーション代表)
指導者にとって、人前で演奏するのはハードルが高いのですが、一つの要因に、暗譜になかなか取り組めないことがあげられます。今回、スタッフと話し合った結果、室内楽なら楽譜と共に演奏できるし、アンサンブルにも挑戦してみたいという声が集まり、多喜靖美先生のご協力を仰ぎました。結果は大好評。思い切って「指導者も参加できるステップ」を、やってよかったです。
ステップに参加する指導者の声を集めてみました
寺北香苗先生(アドバイザー、神奈川県在住/ステップに13回参加)
緊張と高揚を存分に楽しもう
ステップは、アドバイザーだけでなく、お客様も用意してくれると言えますよね。だからコンサート気分、ピアニスト気分にさせてくれます。その一方、ステップは謙虚に自分を映し出す「鏡」のようなものです。録音をすると、必ず何か「不足」していることが後から見つかります。
また、ホールという空間は、普段の練習を大きく映し出す「レンズ」でもあります。生徒たちも、グランドピアノで練習できていないと、三輪車しか乗ったことがないのに、ブルトーザーに乗ったみたいになってしまうこともあります。私自身は、ピアノが鳴りすぎないか、ペダルの深さはどうか、ということを探るため、最初の数小節は全神経を集中させます。
アドバイザー、お客様、良いピアノがそろった舞台で、緊張と高揚の両方を味わえることは、本当に気持ち良いです。生徒には出来る限りダイレクトに、このことを伝えていきたいです。
山下富江先生(アドバイザー、静岡県在住/ステップに10回参加)
初めてのピアノで演奏する"過酷さ"が魅力
自分の姿というのは、案外見えていないもので、ある面には目をつぶってしまっていることもあります。そこを、アドバイザーから客観的な言葉で指摘されるのが、私にとって新たな課題の発見につながっています。
また、普段、演奏をするときは、会場でリハを繰り返すことができますが、ステップはほぼぶっつけ本番。大抵のホール、ピアノとは、初めての出会いです。この「過酷さ」がとても勉強になっています。
上岡由美子先生(コンペティション審査員、福岡県在住/ステップに3回参加)
「先生が弾くとピアノが変わる」ことを示す
生ピアノと、電子ピアノの表現力の違いを理解してもらうためには、実際に目の前で弾いてみせることが一番です。どんなに小さい曲、スケールでも、教師が弾くとピアノが変わる、ということを示すことで、生ピアノの重要性が訴えられます。
また、もし楽器を購入することになれば、同行して、楽器を鳴らしながら選定のアドバイスをします。ですから私は指導者として、ピアノを弾く努力を怠らないようにしたいと思っています。
杉山典子先生(静岡県在住/ステップに4回参加、指導者検定全級合格者)
いつも目標を持ち続けるために
大学卒業後、楽器店に勤務したころから、指導者として常に「目標を持つこと」が必要であると肌で感じ、演奏に没頭した時期もありました。
その後、出産や育児のために、ピアノが弾けなくなることもありましたが、指導者という仕事を継続するにあたって、ステップは私に適切な「目標」を与えてくれ、大いに助けられました。いまは、新たな目標として、室内楽が体験できるステップに興味を持っています。
中澤朋子先生(まちだtriangleステーション代表/ステップに22回参加、指導者検定全級合格者)
学生の頃と違う姿勢でピアノを学べる幸せ
ステップには連弾、アンサンブルで参加しています。特に、室内楽(ピアノトリオ)で、共演者の先生とリハーサルでダイレクトな会話を交わせるのが勉強になります。
アドバイザーからのステップメッセージにしろ、リハーサルでの会話にしろ、これが学生の頃なら、きっと受身の姿勢で何とか捉えてみるだけで精一杯だったと思います。指導者である今だから、より深く、積極的な学習ができていますし、その成果を生徒に伝えていきたいです。