コンペに備えてステップを活用 ～より「集中する」ために、一度「離れる」ために

全参加者数が4万人を超えた、2012年度のピティナ・ピアノステップ。もっとも参加組数の多い季節は、かつては秋頃でした。しかし、昨年はむしろ5月・6月のほうが人数が多くなっています。

このことは、コンペティション予選のリハーサルとしてステージが使われるのが大きな要因と言えます。なんとフリーステップの参加者のうち、半数がピティナのコンペの課題曲で参加しています。

2012年5月・6月のフリーステップ

◆フリーステップのうち、コンペ課題曲で参加している割合

平均4割弱と言われるフリーステップだが、この時期（5月・6月 は48％に増加。

◆フリーステップの内訳

フリーステップのおよそ5割がコンペ課題曲で参加する。23ステップを使う方を含めるとさらに需要は大きい。

	参加者数	フリーステップ	コンペリハ参加者
2012/5	7,081組	3,298組	1,624組
2012/6	4,645組	2,301組	1,175組

◆悩んで考え抜いた末に、思い切った本番のステージ

平野幹根さん（小６） 第36回ピティナ・ピアノコンペティションC級金賞

平野幹根さん（写真右）、指導者の名取美智子先生と

ステップというものがあることは、コンクールの予選がぶっつけ本番にならないように、舞台に慣れるように、と先生に教えてもらいました。
４曲の課題曲に取り組みながら、それぞれどう弾いたらよいのかとても悩みました。インヴェンションの両手のバランス、マズルカのリズム、グレゴリオ聖歌で使われている旋法・・・・。調べても調べても分らないことが多くて。
そんなとき、ステップで、アドバイザーの先生からのメッセージで褒めてもらえて、とても自信がつきました。と同時に、３人それぞれの違ったアドバイスをいただいて、それをどう活かそうか、1曲1曲について集中し、考え抜きました。
おかげで、コンクールのステージにあがったときは、思い切って弾けました。最後、礼をするときに、思わず「ありがとうございました」と口に出てしまったのを憶えています。

◆ステップを区切りに、取り組む課題を変えて四期を学習

花崎桂子先生 さぬき高松ステーション代表

課題曲が発表され、コンペの予選まで、約４カ月。そのちょうど真ん中の時期にステップを開催しています。その前半では、予選の2曲を学習して、2曲でステップに参加しますが、しかし、後半はいったん予選曲から離れて、本選曲にも取り組むようにします。そして予選の直前にもう一度、予選曲に集中して練習します。2曲だけの世界にならないように工夫しています。
４期をまんべんなく学習できるというのは本当によい機会です。生徒の性格や進度に合わせて、初めから3曲、4曲と取り組む子もいます。そもそもステップの時期に４曲が通して弾けたら、ものすごい自信になるので、これはこれで大きな効果をあげます。
４か月のプロセスの真ん中に、ステップという区切りがあることで、生徒に合わせて色々なスケジュールを組むことができ、助かっています。

◆結果ではなくプロセスが大事。課題曲が好きになるコンクール

平井奈緒美先生、石政圭子先生 ピティナ富山支部会員

平井奈緒美先生（左）、石政圭子先生（右）

富山では、コンクールと同じ会場でステップに参加することができます。アドバイザーの先生が、メッセージでよいところを褒めて下さるのがとても有り難いです。指導者としては、むしろ書かれていないことに課題があると、意識して行間を読み取るようにします。
コンクールは、教室から参加できる子だけを参加させるのではなく、それこそ全員にでも経験させるつもりで取り組んでいます。ステップとコンクールを通じて、結果よりも、プロセスが大事なのだということを肌で理解してもらうようにしています。
ピティナの課題曲は充実していて、奥が深いです。生徒が一つ一つの曲を丁寧に扱うようになりました。丁寧に扱っていると、課題曲が好きになるんです。秋のステップで、友達が弾いた課題曲を弾いたり、自分が本選のために準備していた曲を弾いたりもするんですよ。

◆コンクールの前に、自分で選曲する「楽しいステージ」を

穂積有紀先生 我孫子たんぽぽステーション代表

私のステーションでは、5月初めにステップを開催しています。コンクールの曲でリハーサル的に参加させることもありますが、実はむしろ、負担にならないような好きな曲、楽しい曲を自分で選ばせ、ステージに出てもらうことも多いんです。
それによって生徒の心に余裕ができますし、ステップが終わってからは、予選・本選課題曲の学習に集中できます。コンクール曲→コンクール曲ではなく、いったんそこから離れて、好きなジャズの曲を弾いてもらい、それからコンクール課題曲に取り組む。準備過程の言わば一つのアクセントとして、ステップを使っています。
これは生徒の性格にもよると思います。緊張する本番以外に、自分が選曲できる「楽しいステージ」を間に挟むことで、いい影響が出ているように思います。

さあ、コンクールのリハーサルとして、ステップに参加しよう！

ポイント1：開催日程・地区情報を徹底活用！

４月～６月に開催されるステップは160地区以上。ステップ地区情報一覧を見ると、ホール、ピアノ機種などを事前に調べることができます。本日現在、5月まではほとんどの地区でアドバイザーのお名前と顔写真がチェックできます。
また、ステップ本番では、「60字コメント」をうまく使って、アドバイザーにコンクールが何日後に控えているか、どういうアドバイスが欲しいか、などをしっかり伝えるようにしましょう。

ポイント2：コンペティション予選会場で開催されるステップ

どのステップもコンペのリハーサルとして活用することができますが、ここでは、予選会場と同じ会場で参加できる地区を紹介します。（コンペの地区名のうち、本選には*印がついています）

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