ピティナ・ピアノステップ

曲の解釈を深める ~アナリーゼに注目!

文京春日春季(5/5)では、アナリーゼ(楽曲分析)をテーマにしたステップが開催される。ここでは、この「アナリーゼ・ステップ」でアドバイザーをされる秋山徹也先生が分析した「J.S.バッハ/平均律第1巻16番フーガ」と「ブルグミュラー/25の練習曲 5無邪気」の2曲の楽譜を紹介する。

あなたは、どのように楽曲分析・解釈し、どのように演奏したいだろうか?あなたなりの演奏方針をアナリーゼで表現してみてはいかがだろうか?

J.S.バッハ/平均律第1巻16番フーガ
ブルグミュラー/25の練習曲 5無邪気

秋山徹也先生よりアナリーゼについてワンポイントアドバイス

秋山徹也先生
東京芸大卒、同大学院修、東京芸大講師、当協会指導法研究委員、PTNA文京アナリーゼステーション代表

分析というと、難しい言葉を使って構成を語ったり和音の種類を列挙するなど、一見難しいことのように考えられますが、そうではありません。曲をよりよく表現するためには何をすればよいのか(何が足りないのか)を考えて、それをわかるように調べること、が分析です。したがって、より優れた演奏をめざしてどこをどのように改善したいか、という目的を明確にして、学習者の程度に応じた曲の分析(アナリーゼ)を行うことが重要になります。

例えば、「曲のバランスを整えたい」と考えるならば、曲の中にあるメロディー・テーマなどのいろいろな音のうち、同じかたちのものを探して同じ色をぬることなどが分析ですし、「曲の構成感をより豊かに表現したい」と考えるならば、曲の中でどこがヤマでどこがつなぎの部分か、などを調べることが分析です。同じかたちのものがわかれば、同じかたちの音は原則統一して弾くことをまず考えるとよいわけですし、ヤマやタニがわかれば、ヤマはヤマらしくタニはタニらしく弾くことを考えるとよいわけです。和音を調べることは分析の重要な一方法ですが、「フレーズ感が希薄だからよく豊かに表現できるようにしたい」と考えるならば、まずはV度→I度の進行を調べるなど終止形を探すことだけでも十分分析になるでしょう。大きな終止形までを1つのフレーズと考えて弾くようにすればよいのです。近現代の曲などで「より豊かに色彩感を表現したい」と考えるならば、曲全体にわたって調の進行や和音の種類を調べて、特徴的な調に転調した時や特徴的な和音に印をつけるのも分析です。転調したときの表現を変えたり、特徴的な和音ではその特徴を活かすように和音の性格に応じた色彩を何らかの方法で表現し分ければよいわけです。

このように、演奏方針・目的・目標によって分析方法も内容も変わります。したがって、無理に背伸びしていろいろな情報を書き込むのではなく、事前に「このような演奏をするために○○を△△と考えて□□のように演奏したい」というように書いてください。前述の方法は、あくまでも分析の一例です。いろいろな方法の分析があると思います。提出する分析楽譜は、完全なものである必要はもちろんありません。分析内容が間違っていても結構です。分析した楽譜を演奏前に添削して返却いたしますから、ステップステージ当日の演奏までに分析内容を反映されられるようにできれば理想的です。もちろんステージ当日は、分析内容が演奏に反映しているかどうかのアドヴァイスコメントもいたしたいと存じます。

アナリーゼステップでは、分析内容を演奏に反映させられたかどうかを体験・確認できるステージにしたいと考えています。

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